3/28・29 シャルローネ/看守役・目黒知史さんインタビュー
プリンスオペラ第一回公演「トスカ」。
みなさまのインタビューをお届けしております。
第9回は、シャルローネ/看守役・目黒知史さん(3/28・29両日)のインタビューです。
目黒知史(めぐろ ともふみ)
千葉県柏市出身。東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽コース、東京芸術大学大学院音楽研究科独唱専攻修了。近年は古楽にも取り組み、二期会ニューウェーブオペラ「デイダミーア」ではリコメーデ役を、アントネッロ主催「オルフェオ」ではカロンテ役を演じる他、古楽アンサンブルエクスノーヴォでもメンバーとして古楽の演奏会に多数出演している。また「メサイア」や「第九」などのソリストなども務める。BS-TBS「日本名曲アルバム」に杜の音シンガーズとして出演。都立総合芸術高等学校非常勤講師。二期会正会員
──稽古で目黒さんの歌唱を拝聴しながら、非常に緻密で知的なアプローチに毎回あらたな感銘を受けています。特に言葉と音楽の連関に対して特別な美意識を感じます。もしよろしければ、目黒さんが作品に取り組まれるときに心がけておいでのことをお伺いできれば幸いです。
「ありがとうございます。テキストを読み解く重要性については、二期会研修所で出会った素晴らしい先生方に厳しくたたきこまれました。『テキストだ、テキストが重要なんだ』と指導を常に受けたことが、音楽人生において大きな転機となりました。
今回の《トスカ》でも、イタリア語のテキストを読み解くうえでの参考になればと願って、指揮者の澤村さんに原作のことを訊ねてみました。原作もゆっくり読んでいきたいです。
もしかしたらヴェルディやプッチーニなどの重厚な作曲家よりも古い時代のほうが、自分の声には合っているのかもしれないな、と感じることも多くあります。そのため自然と古い時代の演奏機会も増えているのかもしれませんが、古楽とモダンの垣根なく、演奏の幅を広げていきたいです。」
──古楽とモダンの両方の経験を積まれて、総合した知見を育てておいでのこと、そしてそれを演奏に活かしていらっしゃることは目黒さんの大きな魅力だと感じています。
「そうですか。そうだと嬉しいなと思います。これからも両立させていきたいです。」
──今回のシャルローネと看守という二役について、お伺いいたします。言葉少ない中に、思考の深さを感じさせるシャルローネ。そして、最期の時を迎えるカヴァラドッシに寄り添う看守。
稽古の折、看守の短い返事に目黒さんの抑制のきいた優しさを感じたことがありました。それとは対照的に、シャルローネには任務を遂行する厳格さを感じます。二役の演じ分けに際して、どのようなことを考えて臨まれていますか?
「去年の秋に、モーツァルト作曲《フィガロの結婚》のアントニオ役を演じたことがありました。アントニオは出番の短い役ではあるものの、血の通った人物にしていくことを心掛けました。短い出番の中でそのようにつくりあげるのは、難しいけれどとても楽しかったです。
今回の二役も、やることは一緒だと考えています。テキストを読み込み、人間性を短い出番の中でも出していく。そうすることによって、自然と二役の演じ分けは出来ると考えています。」
──プリンスオペラでは「若手声楽家の育成」という面にも注力しています。稽古中、目黒さんが澤村さんに問い掛ける含蓄の深い言葉からは、若手の方々が多くの学びを得ていると感じています。「若手声楽家の育成」という面において、目黒さんが心がけておいでのことを教えていただけますか?
「『育成』というよりも、おなじ作品をつくりあげる同僚として、一緒に勉強していくことを心掛けています。さきほどのイタリア語の話も僕自身がもっと知りたい、学びたいという気持ちが強くあって、澤村さんに訊ねたのだと思います。
さまざまな業界に共通しますが、年功序列は昔ほど見られなくなってきたと感じています。実力がある人が評価されていくことは、とてもいいことです。だから、若い方々に対しても上下なく、等しい立場で一緒に成長していけたらいいと願っています。」
──みんなで共に高めあっていく現場の雰囲気は、取材していても伝わってきます。みんなで、いい舞台をつくりあげていきたいですね。
最後の質問です。プリンスオペラ代表の明珍さんから、みなさまにお預かりした質問です。「あなたが歌う理由を、教えていただけますか?」……いかがでしょうか。
「とても難しい質問ですよね。職業としての枠をはずして考えると、『歌う』というのはとても本能的なものだと思います。その中でたとえば足が速い、遅いのように、人によって得意不得意がある。歌もまた同じです。
最近、自分の尻を叩こうと思ってさまざまな機会に積極的に挑戦するようになりました。僕自身は遠回りしてきたけれども、すこしずつでも上達していきたいと願い続けています。今年はフォーレやモーツァルトのレクイエムのソリストなどの機会もいただきました。宗教曲の分野も、今後はより注力していきたいと考えています。
そうやって、自分の歌を通じて社会に貢献できたらいい。歌うことでも、教えることでも、直接的なかたちでも、間接的なかたちでも……なんであれ社会貢献をしていけたらいいと思います。」
言葉を選びながら、誠実にひとつひとつの質問に答えてくださった目黒さん。その声の響きからは、目黒さんが時間をかけて丁寧につみあげてきた学びの数々を感じ取ることができました。
目黒さん、ありがとうございました。本番に向けて、どうぞよろしくお願いいたします。
プリンスオペラ第1回公演「トスカ」は、
2026年3月28日(土)・29日(日)
北とぴあ つつじホールで上演いたします。
公演情報はこちらをご覧ください。
チケットはほくチケ(オンライン)、
ならびに北とぴあ1階窓口にて好評販売中です。
オンラインでのお申込みはこちらからお願いいたします。
◎ほくとぴあチケットオンライン
みなさまと北とぴあでお会いできますことを、
心より楽しみにしております。
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